2012年2月8日水曜日

2/7火曜 キノコのトマトパスタ


「パスタ」は割に得意な気になっていて、
売り物は勿論、「賄い」でも良く作る。
たまにお客様に「ここイタリアン?」と聞かれる事があるが、
少々、ケツの座りが悪くなる。

かつて、約20数年前、
いわゆる「イタリアン」のシェフを目指した事があり、
今思うと、赤面してしまいそう。

今は、「イタリアン」どころか、「フレンチ」でも、
ましてや「南米風」とも思っていない。
形こそ「洋食」だが、「日本人」が作る「日本食」「日本的料理」、
と思っている。


20数年前、やたらに「イタリアン」を語りまくるお方と、
札幌、某所で知り合いになり、意気投合。
札幌で「イタリアン」の店をやる事に発展した。
彼は、東京の某有名「イタリアン 」のホールのチーフをやっていた方。

その「東京某有名イタリアン」にも、研修に行った。
そこのキッチンのチーフは、やたらにカッコ良く、
その料理の、異国的佇まいにも、すっかりはまってしまった。

当時、私はある意味、行き詰まっていて、何かが欲しかったのかも。
で、けっこう頑張って「イタリアン」を知ろうとした。
会話は出来ないものの、
メニューの読み書き位は「イタリア語」で出来る様になっていた。

当時、同い年で、とんでもなく凄い「イタリアン」のコックと友達になり、
彼の影響もしこたま受けた。
やつは、「人間」が凄かった。
どう「凄い」かは、今語れば話しが違うとこに行ってしまうので、いつかまた。
彼は今、関西方面で「オーナーシェフ」をしているはず。


その札幌の「イタリアン」は、準備に1年位もかけたものの、
ひと月で「ケツまくって」辞めた。
「語るやつ」は、所詮「語るやつ」でしかない事に気付いたからと、
海外に行ってみたい気持ちが、抑えられなかったからだ。

その後、海外渡航に有利かとも思い、「和食」に飛び込んだりもしたが、
「イタリアン」でありたいと思い続けてはいた。


で、彼の地「ベネズエラ」での事。

そもそも「ベネズエラ」は多国籍人の国。
特に首都「カラカス」では
イタリア料理のシェフは、イタリア系なのはもちろん、
スペイン料理は、スペイン系。フランス料理は、フランス系。
中華は中国人。和食は日本人が作っている。
当然、その方が料理に説得力があると言うもの。

ある日、音楽仲間の、決して裕福ではない家にいた。
言葉の端で、ポロっと「腹減った」とこぼしたら、
「バジルとトマトのパスタ」をそれこそ、チャチャっと作ってくれた。

生の「バジル」やらが、当たり前の様に常備菜としてある事、
その味は、日本人には勉強した「味」だが、
彼らには「チャチャっと」作る程、「当たり前の味」だと言う事、
驚いた。
考えてもみりゃ、彼らにとっての「お袋の味」は、
「チーズ」の香りだったり、「肉」を焼いた匂いだったりするわけだ。
決して「味噌汁」だったり、「お新香」じゃない。

また、こんな事があった。
渡航して間もない頃、「じゃ、パスタは俺が作る。」
と、勤めていたレストランの「賄い」を買って出たら、
「日本人の作ったパスタなんぞは、気持ち悪くて食えない。」と言われた。
後に、悪い印象は払拭できたが、
その時は、かなりショックだった。
日本人も「黒い人」が、寿司を握っていたら、
「気持ち悪い」位言いそうなもんだから、おあいこ。

簡単に言うと、「育ち」が違うんだ。
海外の料理は、「育ち」の違う人間の料理なんだ。
言葉まで違う。
そう思った時、頭から「イタリアン」がぶっ飛んだ。
自分の料理は、「日本人の料理」なんだ、と思った。
なんにも考えなくても、「日本的料理」になると思った。

以来、「〜料理」と限定するのを止めた。
作りたい料理を、作りたい様に作る様にした。
そもそも「洋食屋」だから、そこから大きく飛び出したりしないけど、
平気で「味噌」も「しょう油」も使う。

「トマト」に「味噌」入れるのは、朝飯前だ。
「デミグラスソース」を「しょう油」で仕上げるなんざ、お手のもの。

これは「〜料理」に精進なさっている方に、
何か言いたい訳でも何でもなく、「自分はこうだ。」と言っているだけ。
お気を悪く、なさいません様。

newport宮木英貴




2012年2月6日月曜日

2/5日曜 あっさり味噌

あっさりした「味噌ラーメン」に挑戦。

「自然派ラーメン」と自ら銘打つ、小樽の某ラーメン屋さん。
メニューは、「あっさり」と「こってり」に大別される。
「塩」と「しょうゆ」は、その2種ともあるが、
「味噌」だけは、「こってり」しかない。

じゃあ、「やったろ、じゃあないかい!」って事。

その「某ラーメン屋さん」、店主のD君は友人。
以前に、「味噌」に「こってり」しかない理由を尋ねた事がある。
「味噌自体の味が、こってりしているからね。」との事。
ある程度以上「味噌」を利かせると、
「味噌」の味の特性として「こってり」してしまう、と言う事なんだろう。

「こってり」と「あっさり」、そもそも何が違のか。
文章にするのは、ちょいしんどいが、
例えば、食べた時、舌に「絡まる感」の違いと、とりあえずは表現しておく。

その要素は、ふたつ程考えられる。
ひとつは「味のコク」。
「旨味の量」、「辛いとか、甘いとかの味の量」、「塩分」等の違い。
もうひとつは、何と言っても「油脂分」の違い。
簡単に言うと、スープに浮いている油の量の違い。

「味噌」は、その特性上、
前者の「味のコク」に関しては、そもそも「こってり」なんだから、
後者の「油脂分の量」を調節した「あっさり味噌」なら、
実現出来ると踏んだ。


さて、ただスープに浮かぶ油の量を減らしたところで、
「あっさり」感は出るだろうが、
ただの「味噌汁」になってしまう危険性がある。
「味噌汁」であったとしても、
料理として「美味」けりゃあいいが、
やっぱり、ここは「ラーメン」らしいスープを目指したい。

ここで、じゃあ「何がラーメンらしい」か。
を、論じ始めると、もう意見は百花繚乱。
収拾は、間違いなく付かなくなるので、
ここは独断、自分流で行く事とする。

まずは「にんにく」「しょうが」のみじん、「とんがらし」を、
ごま油で、こんがり炒めて「香り」を出す。
で、「豆豉」「八丁味噌」「白味噌」を足し、
「豆豉」の粒をつぶしながら、さらに炒める。
ここで「焦がしめ」にして、「味噌」の香ばしい香りを出す。
ここが、「味噌」味のポイントかな?

ちなみに「豆豉」は大豆を、塩漬け、醗酵させた中華の調味料、
「味噌」の原型みたいな物。

で「鶏出汁」を投入。
出汁に使ったのは「鶏胸肉」、
油脂分も少なく、品の良い、クセの無い出汁が取れる。
ま、いわゆる「あっさり」した味。

この度は、先日「スペアリブ」を炊いた汁が少々あったので、
そいつも入れて見た。
多分、きちんと脂分を除けば、「あっさり」の中で「コク」を演出するはず。
投入後、「味噌」がなじむ程に軽く煮込んで、
スープの脂を丁寧にすくえば、完成。

「もやし」と、青味に有り合わせの「春菊」を炒めたのと、
さっきの「スペアリブ」を乗せた。


「豆豉」「八丁味噌」「白味噌」の合わせ味噌が大活躍。
「にんにく」「しょうが」が、「ラーメン」らしさを醸し出した。

まー、まずは成功と言うところ。


newport宮木英貴



2012年2月5日日曜日

2/4土曜 豚汁


「豚汁」の最低構成要素、
つまり「何と何」が入っていりゃあ、「豚汁」になるかな?って事。

具沢山汁の横綱「豚汁」だが、
あり合わせの材料で何とかしたい時、
何がなんでも、買い物がしたくないない時、
「最低これだけは……。」と思える物。

最低の最低、「豚汁」何だから「豚肉」。
ところが、以前試したことがあるのだが、「豚肉」さえない時、
「豚肉」の代わりに、「七面鳥」「鶏」を使った事がある。
この場合、これから書き進める事になる「野菜」が揃えば、
結構「豚肉」の「ふいんき」は出る。
特に「豚肉」が食いたい場合以外、「豚汁」の名前を無視するのも「あり」だ。


さて「野菜」の事だが、ここからは意見は山の様になるはず、
なので「独断」「偏見」で話を進める。

私的「育ち」「好み」で言えば、「ごぼう」「しょうが」。
これだけはあれば「豚汁」の「味」「香り」は演出できる。
あとは「冷蔵庫」「野菜カゴ」と相談の上、
「にんじん」「大根」「玉ねぎ」「じゃがいも」「焼き豆腐」「コンニャク」……。

正直、この「最低限豚汁」は試した事はない。
だって「玉ねぎ」やら「じゃがいも」は、絶対に在庫がある。
けど想像してみるに、
その「シンプル」であろう佇まいは、好感が持てる。
余計な物をそぎ落とした、「美しさ」があるかもしれない。
試す価値はある。

話しはそれるが、
「じゃがいも」じゃ無く、「サツマイモ」「サトイモ」と言うご意見もあるでしう。
「好み」で言うと、「サツマイモ」は甘くなるから嫌だな。
「サトイモ」は経験がないので、何とも言い辛いが、想像では「良い」かも知れん。


前出の「野菜」それぞれ、「良い味」があるから、
あれば、あっただけ、幸せかも知れない。
ごちゃごちゃ、ごちゃ混ぜの良さもあるはず。

ところで、最後に「味噌」の事に、考えはぶつかった。
味噌だけは、他の手段を試した事も、考えた事さえなかった。
まあ「味噌」じゃなければ、
「しょう油」か「塩」位な物だろうけど。
偉そうにいろいろ言っておきながら、こりゃ、片手落ちだ。

ちなみに、この度の「味噌」は
「八丁味噌」と「白味噌」の合わせを試してみた。
結果は「良かった」っす。

newport宮木英貴


2012年2月4日土曜日

2/3金曜 豆モチ、シーフードカレー


節分だからって、「豆」ってんじゃない。
先日も使ったけど、頂き物の「豆モチ」があったから。
「カレー」と「モチ」は、思う以上に、結構なところ相性が良い。
これは、個人的な意見だけれど。

カレーソースの「シーフード」は、
写真では見え辛く、ソースの中に沈んでいるけれども、
前日の「忌中引き」の「おり」の中の品々。
「海老」「カニ」「大粒ホタテ」「鮭」etc. 豪華なラインナップ。
食する時間が中途半端になりそうなので、転用を考える。

で、「カレー」。
いろいろ、味が付いていたとて、
「カレー」の、独特で濃い「味」「香り」で影に回ってしまう。
「カレー」のパワーは絶大なり。
結果、「賄い」の「カレー率」は高くなる。


「カレー」のお供達、
ただ乗せて食うなら。
「納豆」「生玉子」「梅干し」「塩辛」「海苔の佃煮」「ふりかけ各種」…

忘れちゃなら無い「薬味」。
「福神漬け」「らっきょう」「オニオンスライス」…

王道。
「とんかつ」「コロッケ」「魚フライ」…

皿の上で、味を添加する。
「ウスターソース」「しょう油」「マヨネーズ」「コショウ」「ジャム各種」…

パンをお供に。
「パンに挟む」「トーストに乗せる」「生地に入れて揚げちゃう」…

「カレーソース」のお供なら、
「ご飯」「パスタ」「餅」「生野菜」…

それぞれの「順列組み合わせ」
「全部混ぜる」「食う分だけ混ぜる」「混ぜない」
.........................。

「具」「辛さ」「濃度」etc.
これでまだ、それらについては、言及していない。
なんだろう、この充実ぶり、変幻自在ぶり。
百人いたら、百個の意見が飛び出しそうだ。
「ラーメン」と並ぶ程の「国民食」なり。


newport宮木英貴




2012年2月3日金曜日

2/2木曜 生協の¥278弁当


前日、深夜、あんまり腹減ったから、
嫁がズルズル食ってる「カップ麺」を一口もらう。

身内の「不祝儀」で、自分としては超早起き。
昼までとても持ちそうもないので、コンビニの「おにぎり」「サンドイッチ」。

昼、同じく「不祝儀」で、仕出しの弁当。

夜、「極度の緊張」「精神的ダメージ」「早起き」etc.。
精も棍も尽き果てて、飯の支度の気力なし。スーパーの「弁当」「カップ麺」。


こんな食事が続くと、そろそろ「自分で作った物」が食いたくなる。
外食ではいくら金を積んでも、「埋まらない物」が「自分で作った物」にはある。

ーひょっとすると、自分の生活からかけ離れた「場所」「金額」、
だと「埋めて余りある物」があるのかも知れんが…………ね。ー

「自分で作った物」のいいところは、
好きな物を、好きなバランスで、好きな味で、好きな量を作れるところ。

いくら「食えない物は、ほぼ無い。」と思ってみたところで、
時と、状況によっては食いたくも無い物は、「絶対」付きで「ある」。
「肉は、3倍の野菜が無いと、食う気がしない。」性癖がある。
最近、かなり「塩分」を気にしてる。辛過ぎる物は嫌い。
「量はいらない、ちょっとで良いんだ」と思うことが、まま多々ある。

「歳のせいだ!」って理由ばかりになってしまい、情けないが、
この「わがまま」を満たすには「自分で作った物」しかない。


自分の生活でも、そんな塩梅が多くなっている。
同年代の外食率が減っているのも、うなずける。

我が商売を考えると、由々しき事態なんだが…………。


newport宮木英貴


2012年2月2日木曜日

2/1水曜 菜の花そば

ここのところの日本の、
いや、もしかしたら北海道だけかもしれないが、
スーパーの季節感はどうかしている。

年末、年が改まる前には「菜の花」が、棚に並んでいる。
今時はもう、「こごみ」「たらの芽」「うど」「ふき」.....が並んでいる。

どう考えても、ここ小樽の季節感とは、ずれている。
そのほとんどが北海道産ではない。今日の「菜の花」は「香川産」。
けど、近くに並んでいた「たらの芽」は道内産だった。

季節を先取りするのは、「料理屋」「料亭」の仕事。
家庭に持ち込む必要があるんだろうか。
もうちっと「季節感」「旬」を、大事にしても良いんじゃない?

とか言いつつ、今日の話題の品々は「高い」「値が張る」。
から、売れなくて「見切品コーナー」に並びやすいのも事実。

最近、天候不順もあって野菜が高騰中。
「菜っ葉食ってねーなー」と思ったら、
「菜の花」が「見切品コーナー」で、俺に買って欲しそうにしている。

なんやかんや言っても、「アー春だ!」とか、
「賄い」食って、ヌカしている。
自分の方が、よっぽど、どうかしている。

newport宮木英貴


2012年2月1日水曜日

1/31火曜 ミートソースのショートパスタ


日本人の「主食」は「米」って、もう日本人なら誰でも自覚してる。
それも、かなり強く、明白に。

な、ものだから、他人の家の事も気になるみたい。
私も「彼の地、ベネズエラ」で、現地の人に何度も聞いている。

ーこの国の「主食」はなぁに?ー

日本人的には、何か「小麦粉」「コーン」等、
「炭水化物」系の答えを、自分等がそうであるから、予想するが、
「ベネズエラ」の人は、全ての人が「肉」って答える。

つまり、「肉」を食べたすき間に「パン」を押し込むイメージ。
「米」だって彼らは食べるが、「米」の事を「イモ」とかと同じ、
「肉」の付け合わせの「野菜」だと思っている。

私が知っている外国は「ベネズエラ」だけ、だけど、
彼らの、ベースになっている食文化は、欧米からの物。
多分、ヨーロッパでも「主食は何?」って聞いたら
「肉」って答える頻度は高いんじゃないかと思う。

「肉」を食べる文化が、成熟していると言う事だ。

例えば「ハム」。
冷蔵庫がなかった時代から、「肉の保存」のための、
彼らの「英知」が凝縮されている。
「塩漬け」「熟成」「乾燥」「ボイル」「燻製」……………。
あらゆる手段が組み合わされ、ヨーロッパ各地に芸術品の様な
「ハム」が存在している。

当店でも、スペインの生ハム「ハモンセラーノ」を、丸ごとで扱っているが、
ちょいと、つまみ食いする毎に、
「どんな発想があれば、これが作れるんだろう。」とうなってしまう。
長年の「経験」「技術」、時に「偶然」…………。

こんなのが、もう、国ごと、地方ごとにあるはず。
そんな欧米の人にとって、「肉」は「大切」に決まっている。

かつて、
自分の食う物を切り詰めても、
「家畜」に餌を与え、時間をかけて育て、
寒い冬のために、泣く泣く「つぶして」保存食にする。
そんな人々が存在していたはず。

そんな彼らが、「肉の一かけら」「血の一滴」「骨の一本」……。
を「無駄」にする訳が無い事は、簡単に予想できる。

で、お待たせしました。事は「ミートソース」。「ひき肉」の事。

「ひき肉」は、基本、ちょいとには「食えない」固い部位やら、「スジ」やらを
なんとか食うために、考案された物と思われる。
すり潰して、細かくして、火が入り易くして……。
煮込んだ物をソースにするのは、容易に察しがつく。


「ベネズエラ」でも「ひき肉」は良く食べられていた。
柔らかい肉は「金持ち」が食べて、「貧乏人」はひき肉。
「ひき肉」を使ったソースのパスタは、
「貧乏人」でさえ「またかよ!」って顔をして食うほどに、良く食う。


食ってりゃ、「ガツン」と歯に当たる物がある。「骨」。
「貧乏人」は気にもしないで、「ペッ」て、スイカの種みたいに吐き出す。

そんな、大らかさが日本にあってもいいかとも思うけど。

newport宮木英貴