「ピカタ」って料理がある。
材料に小麦粉付けて、溶いた「全卵」を衣に、
フライパンで焼き付ける料理。
「卵」に「チーズ」「青味」なんて入れたりもする。
「鶏」「豚」でやる事が多いが、
ちょい気取って「仔牛」やら「魚」でもやるし、
なんなら「いも」やら「カボチャ」「ナス」、「トマト」でも良い。
「出」は、なんでも「イタリア」だそうで「picata」てんだそうだ。
「ピカタ」で思い出すのは、
「始末の心の権化」の様な、先輩の爺コックさん。
「年功序列」が今より当たり前のコックの世界、
当時「彼」の言う事は「絶対」に等しい。
さて「爺さん」、我々の「賄い」を用意する時、
「ピカタにしなさいな」と頻繁に仰せられる。
しかし、それ「通常のトンカツ用ロース肉」の半分の厚さで作らせるのである。
「ピカタは良いやね、肉が大きく見えて」とも仰せられる、
「卵は良いやね、肉よりうんと安くて」とも。
全く同じ理由で「トンカツ」も、彼推奨の一品、
「パン粉を沢山、よーく押し付けるんだよ」と…。
「厚い衣」を彼は「ドテラ」と仰っておった。まあ確にねぇ。
極めつけは「飯釜」の鍋底に貼り付いた飯粒、
彼はそれを丁寧に、まず「水」だけで洗わせ飯粒を剥がさせ、
これをザルに上げ、冷凍して貯めておいて、
良い量貯まったらまとめて「雑炊」作って「賄い」にする。
最初は驚いたが食える物なんだら、
考えてみりゃあ真っ当で「目からウロコ」。
これは「ケチ」とは言わず「始末の心」と言う…事にしておこう。
事は「食い物」だけには止まらない。
「ビニール袋」は洗って、干して、また使う。
「ラップ」の類いもご同様、
「だいたいお前さん達ラップを使い過ぎだよ。
無けりゃしょうがないけどさ、フタってもんがあるんだから。
フタは良いよ、洗やぁ良いんだから。」
さながら現世の「小言幸兵衛」。
まー「彼の」多大な影響を受けて、今に至るのだ。
"newport"宮木英貴
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