毎年、あるところから、
インスタント珈琲の空き瓶に入った、「三升漬け」をいただく。
これは、90歳にもならんとするおばあちゃんが、
「青なんばん」を自分で育てる事から始めて、自分の手で漬けた品だ。
ちなみに「三升漬け」は、
「青なんばん」「糀」「しょう油」を「一升」X「一升」X「一升」で漬けて、
合計「三升」で「三升漬け」と言う。
当初は「自宅で豆腐にかける」「ドレッシングにする」「ただ、酒の当てに舐める」等々、
正直、持て余し気味であったが、
ある日、「豚肉」を漬け込んで、「焼く」事を思いついた。
これが、かなりいけた。
「それじゃあ!」ってんで、「メニュー化」を考えた時、
「豚肉」のメニューが他にあったので、「鶏肉」にしてみた。
ところ、鶏の皮の脂と素晴らしいコンビネーション。
目出度く、商品化された。
ところで、その「おばあちゃん」、
「三升漬け」は大嫌い、一口も食べないそうで、
「作る事」、「小樽に届ける事」、「喜んでもらう事」が好きなんだそうだ。
「来年もお願いね。」と言われると、
帰って「青なんばん」を数ヶ月かけて育てて、また漬ける。
で、一年。「やらねばならぬ」事のおかげで生き延びるわけだ。
また、その「おばあちゃん」、
小樽に来るときは、ヒールの高い靴はいて、おしゃれして一人で来るそうだ。
その「ヒール」が心配で、「もう良いよ」って言いたいところなんだけど、
「三升漬け」を作るのを、やめちゃったら……………。
なんで、悩ましい所なんだそうだ。
「三升漬け」には、近所の山で自分で取って、自分で塩漬けにした
「わらび」が必ず添えられていたそうだが、
さすがに「山に入るのはしんどい」と言いだしたそう。
ま、ご家族も心配で止めるんだろうし。
何にしても、まだ「山」なんて事を口に出すだけでも凄いって。
だから、当店の「三升漬け」は、
「おばあちゃん」の生きる原動力の「三升漬け」と言う事。
「力」がこもっている。
年寄りには「やらねばならぬ」事を持つと、長生きするようだ。
そう言えば、例えば「絵描き」の人には長生きの人が多い。
「ピカソ」やら、「シャガール」「ミロ」「片岡珠子」……………。
身近にも一人いる。
年寄りは、働かせろって事?
newport宮木英貴
0 件のコメント:
コメントを投稿