「あんかけ焼きそば」は小樽名物だそうな。
10年も前になるが、某老舗中華料理店でのこと、
ある日曜日、当時はまだ、小樽にも活気があって、
その店は非常に混んでいた。
厨房の周りがカウンター、中が丸見えで、
仕込んだスープが残り少ないらしく、
デカいスープの寸胴を傾けて、料理を作っていた。
そこの料理人である「オヤジ」が、
やおらデカいボールに一杯の「水」を放り込んだ。
何せ、「水道台」だって丸見え、見間違えるはずもない。
「オヤジ」は寸胴を元に戻し、何事も無かった様に仕事をこなし始めた。
ちょい、目を疑った。「だって、ありゃ水だ!」。
驚いた。
「ハー?」ってなもんだ。
しかる後、注文の「あんかけ焼きそば」が
入れたばかりの、水であるはずのスープを使って、
まずは普通の量で、出てきた。
そうこうすると、注文以外の品に見えるほどの、
別盛りの「あん」が、ドンブリ一杯出てきた。
「ごめんなさい。皿に乗りきらなかったんで。」……………。
気を取り直し、
「水だよ、水。」とか思いつつ、一口食べて、またも「驚愕」する。
「いつもと、味変わらん!」
「これぞ、プロの仕事!」
「なんの魔法だ?」
賛辞は、止めどもなくあふれる。
びっくりするのは、その話を外でしても、
人によっては、
ま、だいたいが「青春の一時」をそこで過ごした人だが、
歯牙にもかけないこと。
当たり前だ、食い物の味は、
単に「食い物その物」の味とは限らない。
「想い」とか、「思い」とか、「気持ち」とかが左右する。
肝に命じなければ……………。
料理に携わる人間としては、
納得できる仕事には思えないが......。
所詮、他人の店の事。
そう言った意味では、「名物」もしょうがない…か?
newport宮木英貴
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