2012年11月30日金曜日

11/29木曜 ポークのピカタ


「ピカタ」って言うと、思い出す「お人」がいる。

ちなみに、「ピカタ」ってのは、そもそもは「イタリア料理」。
チーズ(パルメザン)を混ぜた「卵」の「衣」を着せた、肉料理。
肉は、「鶏」「豚」「仔牛」なんかを使う。
まあ、「やり様」によっちゃあ、使っている「フライパン」の「大きさ」まで、
見た目を大きく出来る。
つまり、「肉」の大きさを誑かす事が出来る。

さて、その「お人」、齢「70歳」にも手が届こうっていう「ジジイ」。
その「ジジイ」、なんたって「シワい」。凄ーい「ケチ」だ。
20数年前、たまたま半年程手伝う「ハメ」になった、某キッチンの「ぬし」。
そう「ぬし」って言い方がハマる。
だって「彼」は、そのキッチンの「チーフ」でも「親方」でもなくて、ただのペーペー。
にも関わらず、そのキッチンに君臨している。

上野の昔からの「洋食屋」に生まれ育ち、
「東京六大学」にも含まれる「有名私大」を卒業した、
ちゃきちゃきの「江戸っ子」。
どうも時の「戦争」にも狩り出されたらしく、「洋食屋の家」は焼き出さた。
んで「食い物」に困らないってんで、「コック」になったらしい。
当然「チーフ」「親方」の経験も経て、定年退職後あちこち流れ歩いていた。

所にもよるが、だいたい当時の洋食のキッチンの「中心」のポジションは、
「ガスレンジの前」、つまり業界用語で言うところの「ストーブ前」。
「火」を使うんだし、年寄りには、危なっかしくていけないんだが、
「彼」は、強情に「俺はここしかやらないよ」と、そこに陣取る。
で、誰がどう見ても、一番目立つ、邪魔な場所に立ち、
「本社の営業」だろうが「チーフ」だろうが、誰が相手だろうと「毒」を吐き散らかす。
いわゆる「小言幸兵衛」「ご意見番」だ。

さて「ピカタ」だ。
ある日「賄い」の段になって、
「鶏があるはずだから、使いなさいな。ピカタにしなよ。」と言う。
って、見てみると、ほんの一二枚しかない。
そのキッチン、7~8人はメンバーがいるから、一枚で3~4人前取らにゃならぬ。
「ピカタに、すりゃあ大きさが分からないよ。卵は安いし」と、宣う。
まあ当時の自分に取っちや、「目からウロコ」には間違いなかったが、
その「セコ」さに、驚きもした。

その武勇伝の数々。
・「ラップ」を使い過ぎとのご意見、全員が、洗って干して再利用した。
・普通、物を茹でる時は「塩」を入れるが、「捨てるお湯に勿体無い」と入れない。
「チーフ」が「安いんですから」と言っても聞きやしない。
・「賄いの飯はいっぱい炊きな。安いんだから。」と言いつつ、
「オカズの味は、塩っぱくしな。ちょっとで、飯を沢山食うから。」だって。
「若い者は、飯を沢山食えば、摘み食いはしないよ。」との事。
・鍋底にこびりついた「飯」は、まずは「水」で洗って「飯」を冷凍して貯めておく。
いい量になったら、「おじや」にして食う。
・野菜の皮だって、絶対捨てないで、何かに使う。
etc.etc.etc.etc.…。

「ケチ」を言うより、懐かしさが先に立ってしまって、
思わず、長々となってしまった。
なんにせよ「勿体ない」精神が鍛えられたのは言うまでもない。
今時、
こういう「ジジイ」は、一般的にも必要なのかも。

newport宮木英貴






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